2014年2月1日土曜日

ついでというにはあまりにも失礼

昨日からの流れで・・・


アートである。ブレイキーではない」というジャズ評論家N山氏の文章が懐かしい、ジャズ界きっての大名盤、大名曲。

上に貼った音源は、この演奏が初めて「精確なピッチ」で刻まれたリマスター盤(たぶんゴールドディスク仕様)のものであるらしい。

この録音に使われたオープンリールがどういうわけだか少し回転が遅かったようで、従来のLPやそれ以前のCDはピッチが若干上ずっていたというのだ。
マイルズ没後、紛失したとされていたマスターテープ(メインとサブ)が発見され、両者の差異からその事実が確定したとのこと。
それ以来、正しいピッチだったサブテープを元に何種類もCDが出されていて、ちょっと前にも「オリジナル・MONO・ボックス」なんてのも発売された。

それら「ピッチ修整盤」と従来盤との音の違いはというと、お恥ずかしながら僕の耳では判別不能だ。
ただし、負け惜しみで言うワケじゃないが、未修整の従来盤がもはやクズ同然かというと、案外そうでもないのが面白いところ。

同じような例がクラシック界にもあって、名指揮者フルトヴェングラーの戦時中の名演、ベートーヴェン『英雄交響楽』は最近までピッチが半音近く高かった。
現在の盤ではほとんどピッチが修正されているのだが、聴いてみると意外とつまらない。
昔の海賊盤めいたLP(当然ハイピッチ)の、緊張感があってブリリアントな疾走感がないと、なんだか満足できないのだ。ただの「刷り込み」かもしれんが・・・

ピッチが上がってしまったのはある意味不可抗力とはいえ、マイルズやプロデューサー(テオ・マセロ)がそれに気づかなかった、あるいは見過ごしたとは考えにくく、「これはこれで効果的でいいじゃん」とあえて採用した可能性も否定できないだろう。

ついでに蛇足の蛇足だが、ジャズやクラシックのオーディオ・マニアという人種はこういう些末なことに小うるさくw、マスタリングが変わって再発売されるたびに「またセコい商売しやがって」とメーカーをクサしながらもせっせと買い続け「こんなリマスターするからせっかくの演奏が台無しだ」と愚痴を言い合う、屈折あるいは鬱屈した偏愛者たちが多い(そのうち、シバかれそうw)
だが、それはあながち間違いでもなく、音質をイジるたびに元の音からはかけ離れるのは事実なわけで、「けっきょく初めてCD化された時の音が一番好き」となる人も多いらしい。
ただし、CDの黎明期はアナログ・マスターテープからダイレクトにCDに落とすと音がキンキン不自然に聴こえるので、テープの速度を「若干早めて」いたはずだ。そうなると、別の意味での「ピッチ問題」が再燃するワケで・・・
結局は、リスナーそれぞれが何を以て満足するか?ということに落ち着くしかない。

んじゃ、僕がいちばん気に入っている『Kind of Blue』はどれかと言うと、以前ダウンロードした「オリジナルLP」の「モノ・バージョン見本盤」から「針起こし」したサウンドデータかなぁ〜ということなんだが、そんな自慢をしたいがためにこんな長尺を使ったのかぁ???

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