ブラジルのパーカッション奏者、マルコス・スザーノによるパンデイロ・ソロ。
パンデイロはサンバやカポエイラ(かつてのブラジルの被支配層を中心に広まった、格闘技・音楽・ダンスが融合した文化)に使われるブラジルのタンバリン。
もともとヘッド(皮)が調律でき、支える左手の親指で皮を押さえて音階を変えられる特徴を持っていたが、アンサンブルの中では「景気づけ」以上の役割はなかった。
それを、極端に緩く(低く)したチューニングを用い、さらにヘッド裏をテープでガチガチにミュートして、超低音から高音まで奏でるスタイルを編み出したのは、他ならぬこの御仁である。
音量不足を補いつつ繊細なタッチを余すところなく伝えるため、フレームに取り付けたコンタクトマイクとPAのオンマイクをブレンドするのも、彼流のテクニック。
その結果、バスドラムからスネア、タムタム・ハイハットまでパンデイロひとつでカバーすることができ、まさに「ドラムいらず」。いや、「ドラム以上」とも言えるほどの驚異の表現力なのだ。
ブラジルの民族音楽、泣きのショーロも、彼の手にかかるとこんな具合・・・
イノベーターにしてパイオニアの、勇姿である。
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